NHK-FM「ジャパニーズ ゴールデン ポップス」 110326 高橋愛・新垣里沙・つんく【2】

 卒業については、逆に二人に聞いていくつんくさん。「卒業式で送り出す側ってどんな気持ち?」「(愛ちゃんに)どうなの?実感あるの?」

新垣「卒業はいつも会社の人からメンバーに発表されるんだけど、今回は愛ちゃんの口からみんなに発表があった」
高橋「自分から言わせてくださいって」
つんく「いろんなパターンがあっていいねぇ」

 コンサートのリハーサルとかでメンバーとつんくさんが会う機会はあっても、こういう他愛もない話をするような機会は今はもうそんなに多くないんでしょうねぇ…

つんく「敢えて、『卒業しないメンバー』がいてもいいのかなって思ったことがある。中澤をそういうふうにしようかなって」
新垣「初めて中澤さんと食事に行ったとき、『こんなに長く続くなら、私やっぱりモーニング娘。にいればよかったなー』って言ってました(笑)」

 そうは言っても卒業しないメンバーっていうのは、現実的にはありえないんでしょうね。中澤さんも今は冗談っぽくこういうことを言えるとしても、在籍当時はそんなこと受け入れられなかったでしょうし。
 でも現実的かどうかはさておき、モーニング娘。というアイドルグループが特にバラエティ番組で機能する上において中澤さんが重要なキープレイヤーであったことは確かですね。中澤さんは卒業するにしても、中澤さん的な役割が出来る人が出てくればまた違ってたんでしょうが…。
 よく「黄金期はトークも面白かった」と言う人がいますが、その面白かったのってほとんどが辻・加護・中澤ですからね。
 中でも番組MCとメンバーとの橋渡し役をしてくれる中澤さんの存在は大きかったです。
 例えば「モーニング娘。OG選抜(中澤さん除く)」と「現モーニング娘。+中澤さん」という2つのグループがあったらどっちが面白いですかね?「現メンバーがダメだからつまらないんだ」って言ってる人は当然前者を選ばなければおかしいわけですが、僕は後者のほうが面白い可能性はかなりあると思います。中澤さんがいるかどうかはそれくらい大きい。

つんく「プロデューサーにとって大切なことは常にピュアでいること。そしてお客さんの顔を思い浮かべて物を作ること。自分が楽しいかどうかより、人が楽しんでくれてるかどうかが気になる。自己満足では作れない。
 もちろん、お前たちがどんな風に仮歌を聴いてるのかなっていうのも本当は気になる(笑)。そのときの顔を撮って見てみたい。『この歌詞についてはどう思ってるんだろう』『納得して歌ってるのかな』とか。

 歌詞については、メンバーはどう思ってるんでしょうねぇ(笑)。
 よくつんくさんの歌詞を「リアルじゃない」って言う人がいるけど、それはどうなんでしょう。僕はそこまで「リアルじゃない」とは思わないですけど。比較の問題なので、「他のアーティストの歌詞はもっとリアル」だということなんでしょうけど、僕にはそうとも思えないんですよね。リアルさにおいてはそんなに大差ないって感じです。ま、そもそも「リアルだったら良い歌詞なのか?」っていうと全然そんなことないですから(笑)。リアルかどうかなんてどうでもいいことですね。
 もしつんくさんの歌詞を批判したいなら「リアルじゃない」じゃなくて、「オシャレじゃない」や「詩的じゃない」が妥当だと思います。僕の中では「オシャレ」「詩的」っていう要素はそんなに重要じゃないので、僕はつんくさんの歌詞を特に批判したいとは思わないですけど(笑)。
 もうひとつよく言われるのは、メンバーから見たら恋愛観がちょっと古臭いんじゃないか、ということ。これは確かにたまにありますね(笑)。でも世の中のみんなの恋愛観がそんなに急激に変わるわけじゃないから、古い=共感できないってことでもないんだろうなぁ。ちょっと古い=スタンダード=たくさんのストーリーで見聞きしてる=共感できる、とも言える。
 それにつんくさんがたまに書くような「歌謡曲ちっくな女性像」って"今のJ-POPの歌詞の中ではいないことにされてる"けど、実際は全然そんなことないですよね。わがままな男に振り回されても我慢してる女の子、とか普通にいるし。
 その上、そもそも、リアルじゃない設定やストーリーでも共感することは普通にありうる。
 メンバーが歌詞について「共感できる」とか言うと、「つんくに気を使ってるんだろ」とかいうツッコミが入ることがしばしばあるけど、僕はそうも一概には言えないんじゃないかな?って感じですね。

つんく「たまにダンスの振りがTOO MUCHにハードだと、『歌詞の主人公はそんな人じゃないでしょ!』って思うときがある」

 ボーカルに対しても、この「歌詞を表現するため」という考え方を徹底してほしいですねー。もちろんやってるでしょうし、つんくさんプロデュースの中にいる間はだいたいのメンバーが大丈夫なんですけど。それでもたまにアーティストぶった変な癖をつけて歌う人が出てきちゃうので、再度の徹底をお願いしたいです。

つんく「(ドリ娘。メンバーについて)面白いことに、卒業してからのほうが練習やたらしよるんですよ。今までそんなに練習してけえへんかったやんけ(笑)みたいな。それを現役のときにやれよ、と」