モーニング娘。『愛の軍団』

 Juice=Juice『私が言う前に抱きしめなきゃね』のサックスを聴いて、「このサックスの使い方はつんくサウンド制作陣にとって”発見”だろうなー」って思ってたんで、この先、ハロプロの他の曲でも出てくるだろうとは思ってました。でもそれは『私が言う前に抱きしめなきゃね』からの変化・発展形的な曲がいくつか出てくるだろうなっていう予想であって、まさかいきなりモーニング娘。のEDMシングルシリーズにサックスを絡めてくるとは(笑)。

 イントロまでは「またエレクトロな感じかぁ」って思ってたんですけど、サックスが入ってきたところから、なんかすごい新しいものを聴いたような感じがして、そのかっこよさに魅了されちゃいました…。最初は「EDM+サックスっていう取り合わせの音楽は初めて聴いたなー。新鮮!!」っていう印象が強くて、もちろんサックスはめちゃくちゃ効いてるんですけど、でもよく聴いてみるとサックスは要所要所にしか入ってないので、サックスだけでなく曲全般のアレンジも素晴らしいんだろうと思います。

 あと、つんくさんのメロディもすごい、…ような気がする(笑)。僕は音楽に詳しくないし、理屈立てて語れるだけの音楽のボキャブラリーもないので、上手く言えないんですけど、この曲、サウンドの一つ一つを聴いていくとエレクトロっぽい音に支配されてるのに、1曲聴き終わったときにはそんなにエレクトロっぽい印象が残らないんですよね。その理由には「サックスやストリングスが効いてるから」っていうのもあるだろうけど、それに加えて、つんくさんのメロディの作用も大きいんじゃないかと感じてます。他のエレクトロ系の曲にはほどんど見当たらないようなつんくさんのメロディがサウンドとのポジティブなミスマッチを生んで、この不思議な『愛の軍団』の世界観を醸し出してるんじゃないかな、と。

 不思議な世界観と言えば、MVの真っ暗な森の中みたいな背景で鮮やかな赤の衣装でメンバーたちが踊るショットも、得も言われぬ不思議さがありますね(笑)。なのに、映像としては圧倒的に素晴らしい。『愛の軍団』のような「どうしてそれがいいのか理屈では言い尽くせないけど、ただ素晴らしいということだけはわかる」っていうような作品に出会うのは本当に嬉しいし、ワクワクします。