ハロプロの部活っぽさ

 前に書いた「パフォーマンスと見世物性」 http://d.hatena.ne.jp/robotkiss/20131024/1382585743 からもうちょっと進めて考えてみました。

 常々思ってたんですけど、ハロメンは野心的な子が少ないですよね。全然いないわけじゃないけど、同年代のタレント・アイドルからすれば割合的に少ないと思うし、ハローの中で野心的に見える子でも、外から見たらそうでもないんだろうなって思います。たぶん初期メンバーが最も野心的で、そこからだんだんと野心的な子は少なくなっていったんでしょうねぇ。

 アイドルの人たちは「今やってるパフォーマンス(歌やダンス)を上手になりたい」っていうような「今現在の本業(=アイドル)で成功したい・良いパフォーマンスがしたい」っていう気持ちと、「(将来的に)どんなかたちであれ芸能界で成功したい・のし上がりたい」っていう気持ちの両方を抱えて日々を過ごしてるんだろうと思います。

 アイドルの多くの人の仕事への考え方は、そのどちらを重視するのかっていう点で、「今のアイドル仕事:将来の成功=4:6」くらいの感じだと思います。「今のアイドル仕事も大事にしてるんだけど、本当に狙ってるのは個人でのタレントとしての成功」っていうイメージですね。
 アイドルの人たちがこういう風に考えるのは当然ですよね。アイドルでいられる時期は短いわけだし、その間に名前を売ったりスキルアップしたりして、テレビタレントなり俳優なりにステップアップを狙うっていうのは、むしろ旧来からずっと続いてるスタンダードなアイドルの在り方です。これが普通。

 ところが、ここらへんの意識がハロプロは他とはちょっと変わっていて、ハロメンは「今のアイドル仕事:将来の成功=7:3」くらいの感じの意識で活動してるんじゃないかと思ってます。「将来ボーカリスト(やテレビタレントや俳優など)になるためのステップアップの一つとしてアイドルをやろう」っていう子は少なくて(もしくは野心を持ってはいてもそれほど強くなくて)、それよりは「ハロメンとして良いパフォーマンスが出来るようになりたい」っていう意識のほうが強いように見えるんですよね。「良いコンサートがしたい」とか「あの先輩みたいなダンスが出来るようになりたい」とか。

 そういう意味で「ハロプロは部活っぽいな」って思ってます。アイドルの活動が部活に喩えられることはよくあって、「遊び半分でやってる」みたいな揶揄するニュアンスで言われることも多いけど、今回の部活の喩えはそういう意味じゃなくて、『スポーツ部活成長ストーリー』みたいな感じです(笑)。「先輩のプレーに追いつきたい」「レギュラーポジションを獲りたい」「次の公式戦では結果出すぞ!」みたいな(笑)。ハロプロに置き換えると、”レギュラーポジション”は歌割や良い立ち位置、”公式戦”はワンマンライブやハロコンになるでしょうね。

 最近は「ハロプロはパフォーマンスのレベルが高いから好き」と言ってくれる人が増えて、そのことは嬉しいんですけど、僕がハロプロが好きな理由はそこじゃないです。なにせファン歴13年ですから(笑)。好きな理由を「パフォーマンスのレベルの高さ」に求めるなら、デビュー当時からベリキューを見たりしないし、モーニング娘。にだってどこかで見切りをつけてたでしょうね。
 僕がハロプロをいいなって思うのは、「パフォーマンスのレベルが高いから」ではなく、「パフォーマンスをあくまでも中心(本業)とする活動をずっと続けてくれてるから」なんだろうと思います。そういう活動態様がブレないところにポリシーを感じるし、続けてくれていることでそのグループのメンバーの変遷や出来事から”作り物ではないドラマ”を見出だせる。たぶん「ある高校の部活を追ったドキュメンタリー」みたいなのを見てるのに近い感覚なんでしょうね。

 メンバーの加入・卒業があるモーニング娘。を説明するときに「プロ野球チームみたいなもんだよ」っていうのはよく言われる言い方だけど、メンバーの年齢層を考えると高校野球チームっていう説明もいいかもしれませんね。僕は「ちゃんと全員を指導出来るように部員は1学年10人だけ」「3年生は全員ベンチ入りさせてあげる」という智弁和歌山高校が甲子園に出てくるたびにちょっとした親近感を感じてしまいます(笑)。