W杯 GL グループB オランダ 3-2 オーストラリア

 「オーストラリア、前半から飛ばしてるなぁ」って思いながら見てたけど、結果的にはそれが良かったと思います。疲労はしただろうけど、守備に追われて一方的に疲労させられたわけじゃないし、オランダに落ち着く余裕を与えなかったことで、この接戦になったと思いますね。
 もし、オーストラリアが日本のような慎重な試合運びを選んでいたら、もっとオランダの横綱相撲的な試合展開になってたと想像します。

 要は、「いかに強豪国でも相手にアグレッシブに来られるのは怖い」ということなんだと思うんですよね。特に短期決戦、しかも国民の期待を担ってるワールドカップとなれば、強豪国の選手でもミスや失点を怖れてアタフタしちゃう。クラブと違って選手同士の連係も十分じゃないし。日本のコートジボワール戦だって、前半で日本が攻勢だった時間帯には、あんなに上手いコートジボワールの選手たちもアタフタしちゃってましたしね。日本が「とりあえず失点しないように」っていう受けの姿勢になってから、途端にコートジボワールの選手たちは落ち着いてボールを回し始め、本来の力を発揮できるようになっちゃいました。

 結局、2006年に中田英寿氏が言ってたことに尽きるんだと思います。攻め合ったほうが勝つ可能性は高くなる。日本人のメンタリティとして、失点すると、「なぜ失点が防げなかったのか!」「あの失点さえなければ…」「守備が課題」とか批判するけど、「じゃあ守備的な戦術を採ったら勝てるのか?」って考えると、守備的な戦術で勝てた試合なんてほとんどないんですよね。たいていは横綱相撲をされた末に負けか、運が良くてドロー。そりゃごく稀にはありますよ? 2002年W杯のホームでのロシア戦や2010年W杯のカメルーン戦のように相手が拙攻しまくってくれたおかげでなんとか勝てた試合もあるにはあるけど、日本は戦力的にもうそろそろその段階は卒業していいレベルに達してると思うんですよね。

 とにかくこっちが攻めに比重をかけないと、相手のMFもDFも楽に攻撃参加してきちゃって、波状攻撃になり、結局よっぽど運に恵まれないと失点を防ぎきることなんて無理。こっちがたまに攻めても、守備に追われた疲れからフォローが少なく攻撃は先細り。
 相手に「こいつらガンガン攻撃仕掛けてくるぞ」って思わせたほうが、相手の守備ラインを下げられ、連係を悪くさせ、メンタルの落ち着きも奪える。

 僕が今の日本代表に望むことは、コンフェデやオランダ・ベルギー遠征みたいに、ボールを奪いに行く守備から、自分たちらしい攻撃を展開して、攻め合ってほしいということ。それで負けたらしょうがない。負けてもいいから、W杯本番で、それがどこまで通用するのかが見たいです。
 大事な試合だからって、急に他所行きなプレーをして、結局力を出せずに終わるなんてことだけは避けてほしい。もう開き直って「斬り合い上等!」で闘ってきてほしいです。