サッカーの「決定力」について

 最近、日本代表がよく試合をしてて、スポーツニュースとかで見かけるんですけど、そういうのを見てていつも思うのが、「決定力不足」とかいう言い方がなんか的外れで、やめてほしいなって思っちゃうんですよねー。そのせいでファンも「決定力」なんてものがあると思ってしまって、なんか誤解を招いてると思うんですよ。

 「決定力」なんてないでしょ。日本の攻撃陣が得点できないのは単に「実力不足」と「チャンスの回数が少ない」から。逆に、海外の一流FWが頻繁に得点するのは実力が高いのとチャンスの回数が多いから。
 実力に関しては日本サッカーが5年・10年というようなスパンで選手育成を頑張って、だんだんと世界レベルに近づいていくしかないと思うので、どうこう言ってもしょうがない。

 僕らが世界一流のFWを「決定力がある」とか思っちゃうのはダイジェスト映像とかで得点のシーンだけを切り取って見せられるから。世界一流クラスのFWだって1試合を通して見ればガンガン外してるし、簡単に決められそうなイージーなシュートを外すことだってザラにある。でもある程度コンスタントにシュートを決めてるのを、ダイジェスト映像とかでそこだけを切り取って見せられると、「世界の一流FWはチャンスを逃さない」「確実にゴールを決める決定力がある」みたいなイメージを持っちゃう。シュートを外してるシーンやキーパーに阻まれてるシーンはカットされるから。
 そしてマスコミが「決定力」なんて言葉を使うから、ついそんなものがあるような気がしちゃうんだけど、本当はそんなものはなくて、単にシューターの実力とそれが入ったり入らなかったりする運(相手守備も含めて)でしかないと思うんですよね。そこで本当に大事なのは「チャンスを多く作ること」と「何回でもチャレンジする強気なストライカー気質」だと思うんですけど、どうも「決定力」とかいう言葉で惑わされてる人が多いような…。

 あと、サッカーではチャンスが多いからといって必ず大量得点になるとは限らないのもポイント。良いシュートを打っててもわずかに外してしまったり、相手の守備が粘り強かったり、相手キーパーが好セーブを連発したりすれば、そんなに点は入らない。ユーロ予選やW杯予選の試合結果なんかをザーッと眺めてみれば、あぁそういうもんなんだなっていうのはわかると思います。強豪国が弱小国に引き分けたり僅差の試合をすることも、これまた珍しいことじゃないですし。
 でも日本代表がアジア予選とかで格下と思われるような相手に0点や1点に抑えられたりすると、まるで日本代表の攻撃陣だけがとりわけ「決定力がない」かのように言われちゃうんですよね。弱い国でも粘り強い守備で頑張れば強い国を脅かすことが出来るっていうのは2010年のワールドカップ日本代表でみんな見てきたはずだと思うんですけどねぇ…。オランダ・カメルーンパラグアイが格下の日本から1点・0点・0点しか取れなかったじゃないですか。そういうもんなんですよ。



 ……すみません、なんか話がややこしくなってまとめるのが面倒な感じになってきたので、もう箇条書きで(笑)。

・「決定力」などというものはない。得点力を高めたいなら「チャンスの多さ」と「シューターの実力(スタミナ面も含めて)」を向上させるしかない。
・シューターの実力をすぐに上げることは出来ないので、とりあえず「チャンスを多く作れているか」「ピンチを少なく防げているか」という観点で試合を評価すべき。重要な公式戦以外でファンやマスコミがスコアにこだわってとやかく言って、良い影響があるとは思えない。
・良い攻撃をしてチャンスを多く作っても、運が無かったり、相手の守備が良かったりして、多く得点できない試合はある。でも、良い攻撃をしていれば、得点は”確率的に”上がる。そして現実的に言って、選手やコーチに出来るのは「確率的に上げる」ことまでであって、それ以上を要求するのはクレーマー。
・「相手の守備が良すぎた」「良い攻撃は出来てたけど運悪くゴールは決まらなかった」というのは別に言い訳ではない。そういう試合はあるし、「相手が上手かった」「運が悪かった」として次に気持ちを切り換えるほうが得策。
・プレイしてるのはコンピュータゲームのキャラクターではないので、「決定力」というパラメータを鍛えるようなことは出来ない。