加護亜依、自殺未遂。未成年の飲酒・喫煙に関する私見

 何も高橋愛卒業を間近に控えたこの時期に…。未遂であってくれてよかった。
 モーニング娘。の次に好きだったグループ"ダブルユー"のメンバーがこんな風になってしまうとは…。ダブルユーは声質、歌唱力に恵まれた将来の成長が楽しみなグループだったのに、短い活動に終わってしまって本当に惜しいグループですね。ダブルユーテイスト満載の名曲のカバーをもっと聴きたかったし、『ああ、いいな!』『ロボキッス』のような"ダブルユーの音楽"を追究していってほしかった。

 加護ちゃんは家庭の事情が複雑らしいけど、ずっとハロプロにいてくれたなら、ハロプロの仲間たちと一緒にいることで気持ちも紛れて、大きなトラブルを起こすことなく緩やかに大人になっていけたんじゃないか、という残念さが今でもあります。だから辻ちゃんとのデュオじゃなくて、モーニング娘。の中にいてたくさんの仲間に囲まれてたほうが良かったんだろうな、と後から考えると思いますね。結果論ですけど。

 その意味では一番最初の喫煙による謹慎が痛かった…。あそこでかなり長い謹慎を強いられたことで歯車が狂ってしまったように思います。もし謹慎が1・2ヶ月程度だったら、加護ちゃんも復帰できて、以前と変わらないような活動に戻れたかもしれない。

 その加護ちゃんの喫煙の件もそうなんだけど、2000年代以降、日本人がどんどんヒステリックになっていってるような気がして、そこがわりと気にかかってます。それは時期的に、ネットの普及やSNS2chでのコミュニケーションの隆盛が関係してるのかなとも感じてるんですが…。

 そもそも飲酒や喫煙ってそんなに悪いことじゃないでしょう?言ってしまえば「成人になったら合法になる程度のこと」なんですよ。成人であれば全くセーフなこと。成人がやっても違法な悪事とは本質的に違う。法律では禁じられてるけど、そこまで非難されるほど悪質な行為ではない。僕もお酒を飲むけど、これを未成年がやったら悪いかって聞かれると、実感として「別に悪くない」と思います。
 ってか、未成年で飲酒や喫煙って、普通にあるでしょ? 僕が大学に入学して初めてのコンパは、語学のクラスの懇親会とお花見を兼ねてのもので、確か先輩が幹事とか仕切りをやってくれてたと思うんだけど、普通にお酒出てきましたよ(笑)。そもそもコンパに行って「未成年だから」って言って飲まない人って、あまりいませんよね…。とりあえず僕は見たことない。僕はタバコを吸わないけど、高校時代からタバコを吸ってる友達も何人もいました。卒業前にクラスのみんなで集まって遊んだときは、三次会まで残ったみんなで飲み屋に行ったっけ…。

 飲酒も喫煙も未成年でやる人はいっぱいいる。世間もそれはわかってる。で、そこまで悪いこととも思ってない。でも発覚したら重く罰する。バランスがおかしいんですよ。
 建前として「未成年は飲酒や喫煙しちゃダメ」って言うのは良いんですよ。つまり"目標"や"理想"としてですね。そのほうが社会秩序を保ちやすいというメリットがあるのかもしれないし。でも飲酒や喫煙をする程度のやんちゃは必ず出てくるし、それが自然でしょう。だってそもそも建前なんだから。そんな罪のないかわいいやんちゃに対して厳罰を与えて挫折させることが社会にとって有益とは思えないんですよね。ただちょっと背伸びしてタバコを吸ったり、お酒飲んだりしただけなのに。加護ちゃんの場合は、そんなことに対して1年以上もの謹慎…。芸能人以外にも、高校のスポーツ部で飲酒や喫煙が発覚したときもすごく重く処分されてますよね。

 こういう「たいして悪いことをしたわけじゃないのに過剰に罰する」というアンバランスさは、社会や人々の価値観を歪ませるんじゃないかなぁ。やったこととペナルティとの釣り合いが取れてないわけですから。そして、潰さなくてよかったはずの人を潰してしまう結果を引き起こしてるんじゃないかと思います。「失言」もそうですね。ほんの些細な失言もバッシングして大問題にしてしまうのも最近のヒステリックさ潔癖さを表す傾向のような気がします。

 バッシングが大好きな人や日頃いわゆるDQNに対して反感を抱いてる人は、加護ちゃんとかが堕ちて行くのを見て「あいつらはDQNだから自分たちには関係ない」「ああいうやつは勝手に堕ちればいい」と思ってるかもしれないけど、挫折する人を増やすのは社会にとってマイナスですよ。単純に、僕らのような基本真面目な人が多い"オタク"にとってもリスクが増えると思う(笑)。
 今回の加護ちゃんはその自暴自棄が"自殺未遂"というかたちで自らの方に向けての行為になったけど、人によってはそれを他者に対して向けてしまう人もいるでしょう。
 そこでもまた「それはそいつが悪いだけだろ」って言うかもしれないし、それはその通りかもしれない。でも、その人が自暴自棄になるかならないか、それを自分に向けるか他者に向けるかは僕達にはコントロールできないですよね。だからそのリスクを減らすには、そんな自暴自棄になる人を無意味に増やさないような社会にするほうがずっと効果的だと思う。たいして問題でないことをバッシングして問題化させたり、罪のないやんちゃを過剰に罰する社会は挫折する人を無意味に増やすだけ。もっとおおらかになったほうがいい。
 成人になれば合法になるような、そして世間的にもたいして悪いことともされていないたかが飲酒や喫煙で、まだ10代の子を大きく挫折させる必要なんて、どう考えても「ない」と思いますよ。