福満しげゆき「僕の小規模な生活」①

 漫画家になって数年、なかなか成果を出せずにいる作者のマンガ仕事、バイト歴、私生活などなどを描いたエッセイマンガ。本筋のストーリーと、その中にちょいちょい挟んでくる「どうでもいい心理描写」のテンポ感が魅力ですね。不思議なバランス感覚で挿入される「どうでもいい心理描写」が良い感じの「ゆるさ」を醸しだしてますw。
 元々、なぜかこういうオタク界(やその周辺)を描いたような作品が好きなんですよね。自分はアニメ・マンガは好きだけど、そのとき気になったのを見るくらいでオタクってほど詳しくないし、同人誌とかの世界に参加したこともないんですけど。なんとなく興味だけはあるって感じですかね。「げんしけん」(アニメ版)とか「らきすた」のヲタクネタとか、ニヤッとしちゃう面白さ。セルフパロディの面白さなのかなー。あと《斑目》とか《荻上さん》とか《こなた》とか、登場人物に愛すべきキャラが多いっていうのもあるのかなぁ。
 そんなマンガ業界ものとしても「編集者さんとのやりとりってこんな感じなんだー」ってわかったりして楽しいです。業界に詳しい人からしたら特別ドラマティックなエピソードじゃないかもしれないけど、この作者さんの赤裸々な語り口だからこそのリアル感満点ですw。
 そして何より、作者をモデルにした主人公の愛すべきダメキャラぶりが面白い。赤裸々な内面描写が情けなくもあり、わかるところもあり(orz…)、憎めないです(笑)。コンビニバイトでテンパってるところはわからなくもないですねー。作業の種類が多いから一通り慣れないうちはテンパりますよね…。一つ一つの作業は難しくないから、慣れてしまえばなんて事はないんですけど。
 作者さんを、どっしり構えてサポートしたりしなかったりする《妻》が素敵ですw。いつもニコニコしてて大らかで、「ずんぐりむっくり」な《妻》。かわいいなぁ。