トップランナー「アニメーション監督・今敏」(追悼再放送)

 これ見たっけ?って記憶が曖昧だったけど、どうやら見てたみたい。でもかなり内容忘れてたから、録画しておいてよかったー。そういえば最近「トップランナー」観てないなぁ。この枠は高野寛緒川たまきMCの「ソリトン SIDE・B」のころから見てて、「トップランナー」になってからも毎週見てたんだけど、近年はほとんど観なくなっちゃった。一応毎週テレビ欄はチェックしてるんだけど、なかなか面白そうな回がなくて…。
 精緻な絵コンテ作りの課程を再現してくれる今さん。元々はマンガ家だけあって、絵コンテ時点での画の完成度がすごい。
 学生時代の今さんって「PERFECT BLUE」のアイドルオタクに似てますねw。キャラデザは今さんをモデルにしたのかなぁ。今さんはあそこまで不審な感じじゃなくて、もっと好青年って感じだけど。

「ストーリーからしか考えられない。だから続編が作れない。キャラから考えたら続編ができるような作品が作れるんだろうけど」

 確かに…。キャラは弱い気はしますね。ちゃんと書き分けられたキャラが上手に配置されてはいるんだけど、押しが弱いっていうか主張が弱いっていうか…。今監督によるヒットアニメの《劇場版》が見たかったなぁ。《劇場版》だったら「キャラ立ち」と「設定やストーリー」のバランスががちょうどいい感じに嵌ったんじゃないかな。押井守監督の「うる星やつら」や「パトレイバー」のように。

「音楽の世界に憧れる純粋な気持ちで上京した兄に比べて、絵の世界に憧れて上京するものの、高校を卒業し美大に合格してある程度の「保険」をかけておいてからという自分は『打算的』だと思う」

 自分への客観的な視点。きっちり設計された作品を作る今監督らしい性分の表れのような気が。

「肝臓を患って人生ではじめての入院。死ぬかと思った。そうして自分のキャリアを振り返ったら「今まで残した作品ってたったこれだけか…」っていう寂しい気持ちになった。それで「今楽しまなきゃ損だ」っていう考え方になった。「今我慢すれば後に良いことが待ってる」という考え方はやめた。仕事の選択の仕方として「楽しい」が第一優先になった。そして仕事を楽しくしていく努力をするようになった」

 そうしたいけど、なかなか難しい…。でも考え方は見習いたいです。

「昔から体育会系や熱血なマンガが嫌いで、団体スポーツも嫌いだった。人と深く関わるのが嫌で絵の仕事を目指した。なのに、アニメをやってみて感じたアニメの魅力は「人と一緒に作る」ことだった。作品に自分以外のアイデアが盛り込まれるのが面白い」

「個性とは『その人の内にある表現されるべき何か』ではなく『その人の表現の仕方』にある。表現をすることによってはじめて確認されるものである。日々の仕事に常に一生懸命係わっていれば自ずと表れてくる」

 これは名言だなぁ。「個性は表現の"仕方"に表れる」。こんな核心を突いたことを言える人はなかなかいないよなー。つくづく惜しい。箭内氏がエンディングで「もっとお話をお聞きしたかった」って言ってたけど、まさにそう思う。今監督の人生観や仕事観などももっと聞いてみたかったですね。これからは今監督の映画から感じ取るしかないですが…。もし今監督の文章やインタビューを目にする機会があったら気にして読んでみよう。
 今監督のきちんと筋道立てて論理的にお話を展開される話しぶりが、その作品スタイルとだぶりました。含蓄のある言葉もたくさん聞けて、再放送でもう一回見直せて良かった。